長谷部誠公式サイトではMEMBERSのみなさまから毎月いただいているお金から、サイトを運営するために必要な費用を除いたすべての収益を、日本ユニセフ協会を通じてはしかのワクチンの購入に充てています。
 
2017年5月29日(月)〜31日(水)、長谷部誠選手はエチオピアを訪問し、実際にはしかのワクチンが子どもたちに接種されるまでを見届け、予防接種実施のためにとても大切なシステムや取り組みについて視察しました。
 
エチオピア連邦民主共和国
面積:日本の約3倍
人口:約9,939万人(2016年予測)
宗教:キリスト教、イスラム教など
主要産業:農業(穀類、豆類、コーヒー等)
日本との時差:-6時間
 
 
5月29日(月)前日夜にドイツ・フランクフルトを出発し、約7時間のフライトを経て、早朝6時頃に首都アディスアベバの空港に到着した長谷部選手。ドイツとエチオピアの時差は1時間とあまり差はありませんが、夜行便なのでさぞかしお疲れかと心配するも、さすが移動に慣れている長谷部選手、スタッフに疲れた表情を一切見せることなく、1日目の予定へと突入です。
 
まず訪問したのは、アディスアベバにあるユニセフの事務所です。エチオピアではユニセフや国連アフリカ経済員会(UNECA)など様々な国連関係の組織・団体がひとつのエリアに集中しています。ユニセフの事務所でエチオピアに関する基本情報や、子どもたちを取り巻く環境、そしてはしかをはじめとするワクチンがどのように管理され、子どもたちに届けられるかといったことを1時間30分ぐらいかけて座学形式で学びました。
 
ここで、これから続く長谷部選手のワクチンの旅に対するみなさんの理解がよりスムーズ進むよう、先にワクチンが届けられる仕組み『コールドチェーン』を、簡単にご説明しましょう。
まず、前提となるのは、はしかをはじめとするワクチンの多くは一定の温度(保冷状態)を保ったまま管理されなければならないということです。しかし、エチオピアでは電気が届いていない地域も多く、約7割はケロシンと呼ばれる揮発温度の低い灯油で管理されています。
次に、ワクチンの接種を必要としている子どもたちの多くは、道なき道を進むようなところにある村に住んでいるということ。実際に行ってみてわかったのですが、日本の3倍もある国土に日本より少し少ないぐらいの人口が暮らしているということで、村と村は広大な土地の中でとても離れています。
つまり、「一定の温度を保った状態」で「離れた村それぞれに届ける」ということを達成するために導入されているのが『コールドチェーン』と呼ばれる物流システムであり、首都アディスアベバを中心に中継地点をいくつか経由して実践されます。
首都アディスアベバ→第1経由地→第2経由地→それぞれの村、というように、分岐しながら、後半に進むにつれその地点の数は増えていきます。この各経由地の間を、各地域の保健員などスタッフのみなさんがワクチンをクーラーボックスに入れてバイクなどで運んで行くのです。
 
さて、『コールドチェーン』について学んだ長谷部選手が次に向かったのは、すぐ近くにある冷蔵貯蔵施設です。エチオピアで提供されるワクチンを集中して冷蔵貯蔵する施設で、ここから数々の村へと旅立って行きます。大きな冷蔵庫にたくさんのワクチンが保管されている様子を視察していたところに、第1経由地のひとつである北シェワ地域のスタッフがワクチンをピックアップしにきました。長谷部選手は、必要なワクチンを保冷ボックスに詰め、車に乗せる作業を手伝いました。ここから、このワクチンが実際に子どもたちのもとへ届けられるまでを追っていく旅がはじまります。
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そこで長谷部選手もこのワクチンを同じく、北シェワ地域へと向かいます。車で約2時間かけて北シェワ地域の保健施設にたどり着き、さっそく施設内の冷蔵保管施設に届いたワクチンを格納します。
この日はこの地域で行っているワクチン接種に対する取組みなどについて話を聞いた長谷部選手。お母さんたちのワクチンに対する
意識を高め、接種に参加してもらうために「お母さんネットワーク」を活用していることなど学びました。
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5月30日(火)朝、長谷部選手は北シェワ地域から次の地点(第2経由地)のひとつ、アルメニア地区の保健センターにて保健普及員さんがバイクでワクチンを取りに来る現場に立ち会います。今日はここから30分ほど離れたガシュ・アンバ村で予防接種が実施されます。保健普及員さん自身も小さな子どものお母さんであることが多いそうです。今回同行させていただいたTsehaiさんは村の子どもたちに必要なワクチンが入ったクーラーボックスを抱えてバイクの後部座席に座ると、四輪駆動車でもやっと進めるような道を走り続けるのでした。
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乾燥した土埃を纏うような道を走り続けた先に、多くの人たちが見えてきました。この日の予防接種は長谷部選手が来るということで、お母さんたちだけではなく、村の人たち総動員で歓迎してくれています!男性たちが歓迎の歌と踊りを、女性たちは子どもたちと座って待っていてくれました。強い日差しの中、長い時間、待っていてくれたに違いありません…。
さっそく、クーラーボックスからワクチンを取り出して保健員が予防接種を開始します。その間もお母さんたちは静かに順番を待ちます。赤ちゃんが予防接種にびっくりして泣き出してしまうのはここエチオピアでも同じです。接種が進むたびに、赤ちゃんの泣き声が雲ひとつない青空に元気よく響き渡ります。
この村では、村の中心にある教会で必要に応じて予防接種を実施すること、そして村のお母さんたち複数人でネットワーク化しお互いに声を掛け合う環境を作ることで、接種率の向上を目指しているそうです。
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予防接種が終わると、村長さんが中心となって歓迎セレモニーを開催してくれました。すでに長谷部選手のブログにも記載されているように、おもてなしをすることが大好きなエチオピアの人たち。コーヒーをはじめ、パンやゴマでできた村の名物や、サトウキビやバナナなど、たくさんのメニューが長谷部選手にはもちろん、村の人たちにも振る舞われました。もちろん、この日の主賓は長谷部選手なので、長谷部選手の前を中心にたくさんの食べ物や飲み物が並ぶのですが、長谷部選手はこの食べ物が乗った大きなお皿を自ら持って村の人たちのもとへと向かい、ひとりひとりにお裾分けしてまわっていました。この様子に村の人たちは大感動!「彼はナイスガイだ!」と、とってもよろこんでいたそうです。
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すると、おとなたちの横でひとり、空になった水のペットボトルを蹴る2歳ぐらいの男の子が。エチオピアでもサッカーはとても人気があるそうですが、ボールなどに恵まれておらず、この男の子のようにゴミのペットボトルをボール代わりにする子どもはとても多いとのこと…。ちょうど、どこかで子どもとサッカーができたらいいなと、ボールをひとつ持っていた長谷部選手、この男の子とサッカーをして遊ぶことにしました!勢いよく跳ねるボール、長谷部選手のリフティング、見るものすべてが新鮮で楽しくてたまらない男の子。大きな声をあげて全力でそのうれしさを表現し、そして一生懸命長谷部選手の真似をする様子に、村の大人たちも大いに沸きます。言葉がなにひとつ通じなくても、文字通りボールひとつでこんなにも通じ合えるということを、見ている人全員が実感した瞬間でもありました。
最後に、村長さんをはじめ村の人たち全員が旅の安全を祈願してくださり、そして長谷部選手からもお礼の言葉をお伝えし、この壮大なパーティーはお開きとなりました。
村を離れる前に、実際にお母さんネットワークのリーダーとして活動しているお母さんのご自宅にもお伺いしましたが、ここでもコーヒーやエチオピア名物のインジェラなどたくさんのおもてなしを受け、人々の温かさに何度も触れることができました。
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この村からホテルへ戻る途中、サッカーをしている若者たちを見つけた長谷部選手。車から降りて様子を見に行ってみると、なんと長谷部選手のことを知っている人が!しかし、若い男性でもシャイな人が多いのがエチオピア。最初は恥ずかしがっていましたが、話が進むにつれ、「どうしたら上手くなれるか」など質問を受けたり、長谷部選手からも質問をしたりするなど、貴重なふれあいの時間となりました。
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5月31日(水)この日は北シュワ地域から1時間30分ほど離れたアルメニア地区にある小学校を訪問しました。授業の様子を見学したり参加した後、校庭に出てみんなでサッカー教室です!何度も記載しますが、シャイなエチオピアの人たち、子どもになるとさらにその傾向は強く、最初はみんな恥ずかしがってモジモジしています。でもボールがあれば通じ合えるのは前日に実証済み。あっという間に子どもたちの心は打ち解け、すぐに元気で楽しいサッカー教室となりました。
長谷部選手はリハビリ中につき、いつものペースで蹴ったりすることはできませんでしたが、それでも子どもたちには思う存分サッカーの楽しさや長谷部選手の魅力が伝わり、最後にはたくさんの子どもたちに囲まれて身動きできなくなるほどでした。
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この日はこのあと、エチオピアの日本大使公邸にお伺いし、視察の報告などを行い、長谷部選手はドイツに戻りました。
 
 
2泊3日の視察でしたが、はしかのワクチンがどのように管理され、どのように子どもたちに届けられているのかといった一連の流れを実際に自身の目で確認することができた長谷部選手。『コールドチェーン』について事前に話を聞いてはいたものの、実際に行ってみるとその環境は想像以上に過酷で劣悪なものだったと長谷部選手は言います。行ってみないとわからないこと、感じることができないことが多いとあらためて実感、今後もこういった視察活動で得たものをみなさんにお伝えしていきたいとのことです。
 
 
以下、長谷部選手のコメント
日本ユニセフ協会大使としてエチオピアを訪問してきました。
今回の訪問の目的はMEMBERSの皆様から御支援頂いている、はしかのワクチンが
どのようにして厳しい環境にいる子どもたちまで届けられているかを自分の目でしっかりと見届ける為に足を運びました。
子どもたちまでワクチンが届けられるまでは、以前訪問したデンマークのコペンハーゲンを出発し
様々な温度管理がなされた場所を経由し道無き道を進む長い長い道程です。
そこに関わる人や場所など多くの働きがありなし得るものです。
この訪問を通じ、改めて多くの方々の力や想いが結合し形になっているものだと実感しました。
昨年に日本ユニセフ協会大使に任命していただいてから初めての国際訪問となりましたが、
このような経験をさせて頂くことに誇りや喜びも感じています。
それと共にこの経験を自分の中だけに留めるのではなく、
しっかりと日本の方々にも伝え考えて頂くきっかけにしていかなければならないという使命も感じています。
そしてMEMBERSの皆様と共にこのような支援が出来ている事にも改めて喜びを感じています。
エチオピアの子どもたちは厳しい環境の中で生活をしていましたが、
そんな環境の中でも彼らの清らかな心や笑顔は素晴らしいものでした。
物質的に豊かでなくとも心の豊かさを感じました。
そして僕自身はこれからも世界の厳しい環境にいる子どもたちの為に
引き続き活動していきたいと強く思っています。
 
長谷部誠
 
 
※掲載されている写真の一部を除く全てについて ©日本ユニセフ協会/2017/Mulugeta Ayene